プロを目指すならサーバーのWordPress自動インストール機能は使うな

WordPress

最近のレンタルサーバーは、数クリックでWordPressが立ち上がる「自動インストール機能」が当たり前になっています。
確かに初心者には便利に思えるかもしれません。ですが、プロのWebデザイナーや制作者を目指すなら、むしろこの機能は避けるべきです。

なぜなら、自動インストールでは「WordPressの構成」や「ファイルとデータベースの関係性」など、本来理解しておくべき基本構造を理解していなくても出来てしまうからです。

実際に、私自身もスクール生には、手動インストールを勧めています。
この記事では、「なぜプロを目指す人ほど自動インストールに頼ってはいけないのか」を、現場経験と教育の両面から解説します。

なぜWordPressを「自動インストール」してはいけない?

WordPressを数クリックで設置できる「自動インストール機能」は、一見とても便利です。
ですが、本気でWeb制作を学び、プロを目指す人にはおすすめできません
大事なスキルや知識を得るチャンスを逃してしまうからです。

インストール手順が“ブラックボックス”になってしまう

自動インストールを使うと、サーバーが勝手にWordPressをセットアップしてくれます。
しかしこの過程では、どこにどんなファイルが設置されているのかどのようにデータベースと連携しているのかがまったく見えません。

Web制作者として本来学ぶべき「構造の理解」を飛ばしてしまうことになるため、トラブル時やサーバー移転の際に対応できなくなるリスクがあります。
自動インストールで始めた方は、万一サイトが表示されなくなった時に「何をどうしたら良いか全く分からない」という事態になりがちです。

ファイル構成やDBの関係を理解しないまま運用してしまう

WordPressは、PHPファイルとMySQLデータベースで構成されたCMSです。
投稿データや設定はすべてデータベースに保存され、テーマやプラグインなどの見た目はファイル側で制御されています。

この「ファイルとデータベースの関係性」を理解せずにサイトを運営すると、ちょっとしたエラーやバックアップ・復元時にも混乱しがちです。
本来なら手動インストールを通して、wp-config.phpの編集やDB接続設定などを体験することで、この構造が自然と身につきます。

自動インストールでは自由に設定できない場合もある

自動インストール機能は便利な反面、サーバーによっては以下のような制限がかかることもあります。

  • WordPressを設置するフォルダ名が自動で決まってしまう
  • データベース名やユーザー名を選べない
  • テーブル接頭辞(prefix)がランダムに設定される

これらの設定が自由に選べないと、複数サイトを管理する際に混乱しやすくなったり、移転時に苦労したりします。
また、セキュリティ面での対策(たとえばテーブル接頭辞の変更)もやりづらくなります。

手動インストールがもたらす「実務力」

「手動インストールはめんどくさそう」と思うかもしれませんが、実務で必要になる基本スキルが詰まっているので、ぜひ積極的に挑戦しましょう。

FTPソフトの基本操作が身につく

WordPressを手動で設置するには、まずFTPソフト(またはSFTP)を使って、サーバーにファイルをアップロードする必要があります。

得られる知識
  • サーバー内のディレクトリ構造の理解
  • パーミッションの確認
  • エラー時のファイル修正対応

など、現場で求められる基本操作が自然と身につきます。

FTPが使えないと、現場でのファイル修正ができません。
WordPressに限らず、Web制作全般に必須のスキルです。

データベースの基礎が理解できる

手動インストールでは、データベースを作成し、ユーザーを設定して紐づける必要があります。
この過程で、

  • データベース名、ユーザー名、パスワードの役割
  • wp-config.phpへの設定方法

を理解できるようになります。

実際の現場では、データベースのエクスポートやインポート、バックアップ、SQL操作などを扱う場面もあります。
インストール段階ではあまり必要になりませんが、「phpMyAdmin」にログインして、DBの中身を見て編集出来るようになれば、出来ることの幅が広がります。
「怖い」と感じずに扱えるようになるためにも、最初から“見える形”で学びましょう。

サイト移転・復元などで役立つスキルになる

WordPressの構造や設置方法を理解していれば、サーバー移転や引っ越し作業にもスムーズに対応できます。
手動インストールを経験しておくと、以下のような応用力も自然と身につきます。

  • ファイルをダウンロードして他サーバーにアップロード
  • データベースをエクスポートして再接続
  • ドメイン変更時の対応(wp_optionsテーブルのURL書き換えなど)

これらはまさに、制作会社などの実務で頻繁に求められるスキルです。

初心者でもできる手動インストールの流れ

手動インストールと聞くと「難しそう…」と感じるかもしれませんが、実は手順さえ理解すれば誰でもできます。
ここでは、初心者の方でも実践できるようにシンプルに5ステップで解説します。

ステップ1:WordPress本体を公式サイトからダウンロード

WordPress本体を公式サイトからダウンロード

まずは、WordPress公式サイト(https://ja.wordpress.org/)から最新版のWordPressをダウンロードします。
サイトの右上の「WordPressを入手」をクリックして、最新版のWordPressをダウンロードしましょう。
ダウンロードすると、zip形式のファイルが手に入るので、パソコン上で解凍しておきましょう。

ステップ2:FTPでサーバーにアップロード

解凍したWordPressフォルダの中身を、FTPソフト(例:FileZillaやCyberduckなど)を使って、サーバー上の公開ディレクトリ(例:public_html)にアップロードします。

ポイント
  • 必ず「wordpressフォルダの中身」をアップロード(フォルダごとアップしない)
  • index.phpwp-content フォルダが直接入るように

ステップ3:データベースを作成

レンタルサーバーの管理画面(例:ロリポップ、Xserverなど)にログインし、「MySQLデータベースの作成」から以下を設定します。

  • データベース名
  • ユーザー名
  • パスワード

作成した情報は、この後の設定で使うのでメモしておきましょう。

ステップ4:wp-config.phpを設定

WordPressの中にあるwp-config-sample.phpwp-config.phpに名前変更し、先ほど作ったデータベース情報を記入します。

define( 'DB_NAME', '作成したデータベース名' );
define( 'DB_USER', '作成したユーザー名' );
define( 'DB_PASSWORD', '作成したパスワード' );
define( 'DB_HOST', 'localhost' ); // 通常はそのままでOK

FTPでファイルを再アップロード or 編集できるようにしておきましょう。

ステップ5:ブラウザからインストール画面へアクセス

ファイルとDBの準備が整ったら、ブラウザで自分のドメインにアクセスしてみましょう。

例)https://example.com

WordPressのインストール画面が表示されるはずです。
あとは、画面の指示に従って、サイト名・ユーザー名・パスワードなどを設定すれば完了です。

まとめ:手動インストールは“めんどう”じゃなくて“実力アップの近道”

WordPressの手動インストールは、確かに最初は少し時間がかかるかもしれません。でも、それによってファイル構成・データベース・FTP操作・サーバーの仕組みまで自然に理解できるようになります。

そのスキルは、現場で必ずあなたを助けてくれます。
「プロを目指すなら、自動インストールに頼らず、一度は手動で挑戦してみましょう!」

この記事を書いた人
管理人

2012年にWebデザインの勉強を始め、2013年より制作会社に勤務。
これまでに500件以上のWebサイト制作・運用に携わってきました。
現在も制作会社に勤務しながら、Webデザインスクールのトレーナーとしても後進の育成に取り組んでいます。
WordPressやデザインの実践的なノウハウを、初心者にもわかりやすく発信できるよう試行錯誤しています。

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